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カンヌライオンズ 登壇の舞台裏(前編)

お久しぶりです。みんなの銀行デザイングループリーダーの中村です。
今回のテーマは、みんなの銀行のパートナーであるアクセンチュア ソング(※)のメンバーとともに登壇した「Cannes Lions International Festival of Creativity」(以下カンヌライオンズ)について。このnoteでは登壇のプレゼンテーションの内容ではなく、制作の取り掛かりから登壇当日のビハインド・ザ・シーン(舞台裏)をお伝えしたいと思います。
※アクセンチュア ソングは、アクセンチュアのなかでも、クリエイティブやテクノロジーを駆使して社会的インパクトを生み出し、クライアントのビジネス成長を支援する組織です。

カンヌライオンズの登壇メンバー
■ アクセンチュア ソング デザインディレクター 柳太漢
■ アクセンチュア ソング プロダクトデザイナー 佐々木亜由美
■ みんなの銀行 デザイングループリーダー 中村隆俊


カンヌライオンズ概要(Quote)

Cannes Lions International Festival of Creativity

「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル(Cannes Lions International Festival of Creativity)」は、世界にある数々の広告・コミュニケーション関連のアワードやフェスティバルの中でも、エントリー数・来場者数ともに最大規模を誇り、期間中には約100カ国から15,000人以上の来場者が集まります。

アワードは全28部門(2020/21年は、Creative Business Transformation Lionsが新設)あり、毎年30,000点を超えるエントリーが集います。 カンヌライオンズ開催期間、地中海沿いに位置するフランスのビーチリゾート、カンヌの街は昼夜を問わずカンヌライオンズの参加者で溢れ返ります。約1週間にわたり行われるカンヌライオンズの会場は、レッドカーペットで有名なカンヌ国際映画祭の会場と同じ「パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ(Palais des Festivals et des Congrès)」です。会場内の大小様々なシアターや部屋、オープンスペースでは、会期中を通して多方面の最先端企業による250ものセミナーやトークセッションで埋め尽くされると共に、上映、展示等による全応募作品の閲覧も可能です。そのすぐ上の階や隣の部屋で、同時進行で会期中に審査が行われているというのも、カンヌライオンズの特徴です。各部門に応募された作品の中から、審査員の厳正な評価とディスカッションを経て、部門ごとにグランプリ・ゴールド・シルバー・ブロンズが選出されます。その他、クリエイター オブ ザ イヤーなどの特別賞も毎年選出されます。カンヌライオンズはまたとない交流の場でもあります。世界中の多様な業界のプロフェッショナルが一堂に会し、国や業界を超えて連日非常に盛んな交流が行われています。

カンヌライオンズ日本公式サイトより

登壇に至った背景

今回、みんなの銀行のデザインに大きく携わったアクセンチュア ソングが、カンヌライオンズのセミナー登壇募集に「みんなの銀行のビジネストランスフォーメーション」をテーマに応募した結果、見事選出されました。そこでアクセンチュア ソングのデザインディレクター柳太漢さん、プロダクトデザイナー佐々木亜由美さんに加え、みんなの銀行のデザイングループリーダーの中村の3人で、カンヌライオンズのセミナーに登壇することになりました。

そこからはバタバタと準備に追われる毎日。4月下旬にカンヌライオンズのスタッフと事前打ち合わせをリモートで行い、5月のゴールデンウィーク明けからの準備期間は約1ヶ月半しかありませんでした。

コロナ禍の中での海外渡航となるので、政府等の規制や感染防止策にも留意しつつ、各々で飛行機のチケットやホテルを手配し、登壇のプレゼンテーションを準備していくことに。特にカンヌ周辺のホテルは、5月時点で既にどこも予約がいっぱいでなかなか空きが見つかりませんでしたが、日本出発10日前になってようやく確保。期待と不安の中、ギリギリのタイミングで進みました。

テーマは「みんなの銀行が」どのようにビジネストランスフォーメーションを行ったか

さて、今回の登壇のプレゼンテーションをどのように制作していったか。

まずはリモート会議で3人が集い、「みんなの銀行のビジネストランスフォーメーション」をテーマにWord上に箇条書きをしながらストーリーの方向性を決めていく作業を行いました。その箇条書きから、大きく「Culturize(ブランド戦略)」、「Frictionless(サービス・UI)」、「Everyone(組織文化)」の3つの軸に分けて整理していくことに。3つの軸を3人で分担し、それぞれが伝えたい事項と具体例を思い出しながら整理し、再度持ち寄りました。最後に持ち寄った内容を検討し、全体的なストーリーとして「体験がビジネスをリードする」を定め、内容や分量を調整し、骨格を完成させていきました。

ストーリーの骨格が完成したところで、作業場をWordからプレゼンテーションデッキ(Keynote)に移行し、共有モードの状態で、各自がスライド制作に着手。通常業務の合間を縫いながら、スライドにスクリプト(スピーチ原稿)と仮のイメージをはめ込んでは画面と睨めっこし、調整を重ねていきました。カンヌライオンズのセミナー登壇は、英語でのプレゼンテーションとなるため、スピーチもスライドも英語となりますが、メンバー間や社内の関係するスタッフとの認識のズレを防ぐために、まずは日本語で検討・構築し、最終的に英語に落とし込んでいく流れで進めました。

まずはプレゼンテーション全体像と伝えたいことを
Word上に箇条書きにするところからスタート

調整・練習の繰り返し

直前まで練習・調整・練習を繰り返し行い、3人の進捗や記述内容を確認しあいながら、2週間ほどでスライドとストーリーの大筋を完成させました。その時点でスライドの総数はなんと80ページ超。30分のプレゼンテーションにしてはかなり多すぎる状態でした。それから、登壇を想定した読み合わせ練習を開始しました。私は福岡にいるのでリモート会議でしか参加できませんでしたが、20回以上はリモート会議で集まり、全員で読み合わせ練習を重ねたと思います。そしてカンヌへ旅立つまえにようやくリアルで合流し、登壇をイメージしながらの練習も実施し、イメージを膨らませていきました。

練習を進めていく中で、時間配分を確認したり、分かりづらい内容、話しづらいスクリプトをピックアップしてはブラッシュアップ。特に英語の細かなニュアンスは念入りに確認しました。実際にスクリプトを少しゆっくり話してみると、コンテンツ量が多く持ち時間をオーバーしてしまうことも。スクリプトの冗長な部分をシンプルな言葉に変換したり、余計なコンテンツを削ぎ落としたりしながら、文章を簡潔にすることで、最終的には60ページ程度におさめました。

日本出発前日、アクセンチュア ソングのオフィスにてオフライン練習

いざカンヌへ!

私は他メンバーとは別行動で、登壇3日前に日本を出発し、パリ、ニースを経由してカンヌへ。カンヌは古い街並み、雲一つないすっきり晴れた青空とその前に広がる地中海が本当に素敵なところでした。カンヌの小さな駅に降り立ち、柳さん、佐々木さんと合流後は、観光するほどの余裕は時間的にも気持ち的にもなかったので、すぐさまホテルに移動し3人で練習をすることに。私たちの登壇はカンヌライオンズのDay2(全5日間)だったので、そこから逆算し入念な練習を重ねました。

ホテルでの部屋では、ベッドの上にパソコンを返しモニターに見立てて置き、登壇者役がオーディエンス役に話しかけるようなスタイルでスピーチ。初めは恥ずかしさが先に立ちましたが、「本番のスタイルに慣れなければ」と敢行。この練習のおかげで、確かに自信が付いたと思います。

ホテルの部屋でプレゼンテーションの練習と調整を重ねた

カンヌライオンズ開幕

そして2022年6月20日月曜日、5日間に渡って開催されるカンヌライオンズが開幕。

世界各国から集まるクリエイターやマーケターの人たちで会場は埋め尽くされ、大変な賑わいを見せていました。私たちは大規模なイベントへの参加自体が初めてだったので、テンションが上がると同時に、あらためて大きな舞台であることを認識し、一気に気持ちが引き締まりました。

Day1は、各会場で開催される様々なセミナーを巡りたい気持ちはありつつも、自分たちの翌日の登壇に向け、実際の会場で行われているセミナーを見ながら、雰囲気を確認したりイメージ作りを行うことに専念しました。そして午後は一度ホテルに戻り、プレゼンテーションの最終調整をすることに。

Day1のセミナーの様子。人気のセミナーはほとんど席が埋まっていた

筆者紹介

中村 隆俊
株式会社みんなの銀行 デザイングループ リーダー。デザインマネージメントおよびディレクションを担当。デジタル領域のプロダクトデザイン(UI/UX)を中心に株式会社エムスリー、株式会社ラクスルを経て、2019年に東京から福岡へ移住。ふくおかフィナンシャルグループ みんなの銀行プロジェクトに参画し現在に至る。HCD-Net認定 人間中心設計専門家。趣味はクラフトビール探索。

👇いよいよリハーサル、そして本番へ! 「カンヌライオンズ 登壇の舞台裏(後編)」へ続く


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