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ちょっとしたお金のやりとり、どうしてる? Z世代の送金実態調査

こんにちは、マネーインサイトラボです。デジタルネイティブ世代のお金事情に関する調査・研究を行っているリサーチラボです。今回は第2回目のリサーチ「Z世代の送金実態調査」について、ご紹介したいと思います。

マネーインサイトラボ
ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行iBankマーケティングが共同運営するお金に関する調査・研究組織です。デジタル時代における、人々のお金に関する意識・価値観・行動の変化や、新しい金融サービスの可能性について新たな視点を見出すことを目的に活動していきます。

送金手段、1位「現金手渡し」2位は? 2022年10月スタート「ことら送金」の認知度は?

今回の調査テーマは「Z世代の個人間送金(※)」です。現金での手渡しや、銀行振込に加え、電子マネーや決済アプリでの送金など、その方法はさまざまですが、Z世代はどのようにお金のやりとりを行っているのでしょうか?
※現金の授受、自身の別口座への入金含む個人間のお金の受け渡し全般

Z世代(17~25歳)、Y世代(26歳~41歳)、X世代(42~57歳)計3,000名を対象に、個人間送金の実態調査と併せて、2022年10月に始まった携帯電話番号だけでも利用できる個人間の少額送金サービス「ことら送金」についても、認知度や利用意向を伺ってみました。これらの調査結果をもとにZ世代の特徴を見ていきます。

■ Z世代
1990年代中盤から2010年代中盤生まれ。生まれながらにしてデジタルネイティブであり、幼いころからスマートフォンやSNSに慣れ親しんでいる。
Y世代
1980年代序盤から1990年代中盤生まれ。幼少期~青年期にインターネットの本格普及を経験し、ネットを当たり前に使いこなせる。
X世代
1960年代中盤から1970年代終盤生まれ。子どもの頃をアナログ環境で過ごし、成人してからインターネット環境に触れるようになった。

※近年の価値観やライフスタイルに大きく影響を与えているとされるデジタル環境の変遷を基準にした世代で分類

Z世代で個人間送金する人は「少額」で「高頻度」

図1 個人間送金してる?

Z世代で、個人を相手にお金を送る、または渡すこと(=個人間送金)が「ある」と回答した人は63.7%と、 Y世代70.8%、X世代73.1%と比べて少ない結果となりました。学生も含まれるZ世代は扶養を受けている人の割合も多く、自由になるお金が少ないことや支払いを行う機会自体が少ないこと等が理由の一つとして考えられます(図1)。

図2 個人間で送金する頻度は?

一方で、「ある」と回答した人の送金頻度を世代別で比較すると、「週1回以上」と答えた人の割合はZ世代が最も多く10.5%でした。それに「月1回程度」「月2、3回程度」と回答した人を合わせると、月1回以上利用する人はZ世代の4分の3以上を占め、他の世代より6%以上多い結果となりました(図2)。

図3 一回当たりの送金額は?

続いて1回あたりの金額を見てみると、Z世代では1万円未満が約6割と最も多く、世代別でも他の世代を大きく上回っています。逆にそれ以上の金額帯はX世代、Y世代がZ世代よりも多い結果となりました(図3)。Z世代で個人間送金をする人は、1回あたりの金額は少額ですが、頻度が多い傾向にあるようです。

友人・知人へ、娯楽関連を含む多様な目的で送金

図4 個人間送金する相手は?

続いて、Z世代は誰に、どのような目的でお金を渡しているのかを見ていきます。
送金する相手として最も多かったのは「親」。これは実家暮らしの方の生活費などが考えられます。次いで「自分自身」への送金が多く、自分のお金を別の口座等に移し替える目的で送金しているようです。3番目に多かったのは、「リアルの友人・知人」への送金。他の世代が自分自身もしくはごく身近な家族・パートナーがTOP3を占める中で、唯一リアルの友人・知人がランクインしているのがZ世代の特徴です(図4)。

図5 個人間送金する目的は?

次に目的を見てみると、どの世代も様々な目的で送金していますが、Z世代で特徴的なのが「飲食代」「旅行代」「チケット代」といった娯楽関連の項目が他の世代と比較して多いことです。娯楽を一緒に楽しむ相手でもあるリアルの友人・知人への送金が他の世代よりも多いことも頷けます(図5)。先ほど述べたように、送金するZ世代はその頻度が高いことが特徴でしたが、飲み会の後に友人にワリカン分の金額を渡すというような、ちょっとした送金が発生することが、送金頻度が高い理由のひとつとも考えられます。

送金手段、最も気にするのは「手数料」

図6 個人間送金の方法は?

個人送金の方法として最も多かったのは、世代問わず「現金手渡し」。その中でもZ世代では57%と他の世代よりも多い結果となりました。
Z世代の中で現金の次に多かったのは「電子マネー・決済アプリ」39.6%となっており、その割合は他の世代よりも多いことがわかります。スマートフォン利用率が高く、友人・知人に送金する人も多いZ世代は、同じくスマホアプリを使う同世代の相手が送金先の上位にくるためこの方法がとられているのではないかと考えられます(図6)。

図7 個人間送金する際に気にすることは?(Z世代)

同じZ世代でも、現金の次に多い送金手段である電子マネー・決済アプリを使う派、使わない派でその志向性に違いはあるのでしょうか?「送金する際に気にすること」をそれぞれに訊いてみたところ、どちらも最も気にするのは「手数料」でした。
ただし、電子マネー・決済アプリを使う派の人は、手数料だけでなく、使いやすさ、時間・手間、相手が困らないか、セキュリティ、といったどの項目も気にする傾向があり、特に「相手が困らないか」という点は、電子マネー・決済アプリ以外の送金手段を使っている人よりも17%も多く、気にする度合いが高いということがわかりました(図7)。

ことら送金開始1ヶ月で認知2割、今後「利用したい」6割

2022年10月に、携帯電話番号だけでも利用できる個人間少額送金サービス「ことら送金」がスタートしました。 加盟している銀行の口座を持つ個人同士なら、1日10万円以下の送金が、手数料なし(もしくは少額)で手軽に行なえるサービスです。
今回は、この「ことら送金」についても調査してみました。

図8 「ことら送金」を知ってる?

ことら送金を「知らない」と答えた人は全体の79.3%。2022年10月11日の機能リリースから1か月後のアンケート実施ということもあり、Z世代をはじめ、どの世代ともまだその認知度は高くないようです(図8)。

図9 「ことら送金」を利用したい?

しかし、ことら送金の特長を伝えた上で、利用意向を訊いたところ、「利用したい」と答えた人は全体の60%強と過半数以上が利用に興味を示しました(図9)。

双方が加盟銀行の口座を持っていれば、送金手数料もかからず、携帯電話番号やメールアドレス・口座番号・決済アプリIDなどを使いスマートフォン上で簡単に手続きができることら送金は、電子マネー・決済アプリの利用率が高いZ世代にとって慣れ親しんだ操作性をもつ送金手段と言えます。さらに、電子マネー・決済アプリと異なり口座に直接送金できるという点で 、電子マネー・決済アプリを使うZ世代が特に気にする「相手が困らないか、不都合ないか」といった心配もクリアしやすく、今後サービスに対する認知度や加盟銀行が増えていくことでZ世代の利用者も増えていくのではないでしょうか。

「現金手渡し」から「スマートフォンを使用した送金」へ

Z世代は個人間送金をする人自体は他の世代と比べて多くないものの、送金をする人については身近な家族以外にも友人や知人等の複数の相手に、娯楽関連を含む多様な目的で、比較的少額の送金をする傾向があることがわかりました。

デジタルネイティブとも言われるZ世代。送金手段としてはまだ現金が多いようですが、電子マネー・決済アプリのようなスマートフォンを使った送金手段の利用割合も、それに次いで高くなっています。今後も、デジタルでの送金サービスがより進化することで、スマートフォンを使用した個人間送金はさらに増えていくのではないでしょうか。

調査概要

■ 調査対象:
Z世代(17~25歳)、Y世代(26歳~41歳)、X世代(42~57歳)
■ 査集計期間:
2022年11月18日(金)~11月30日(水)
■ 調査機関:
iBankマーケティング株式会社
■ 調査方法:
インターネット調査
■ 有効回答数:
3,000サンプル(Z世代1,000名、Y世代1,000名、X世代1,000名)


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