見出し画像

お客さまの「声」をどのように活かすか

こんにちは、デザイングループ サービスデザイナーの林です。

みんなの銀行では、様々なチャネルを通して寄せられるお客様の「声」に耳を傾けています。今回はお客さまの「声」をどのように活かしているのか、そのためにどのような工夫をしているのかについて簡単にご紹介したいと思います。


「声」の集め方

まず、そもそも私たちがどのようにお客さまの「声」を集めているかご紹介します。
大きく分けると2つのアプローチがあります。

一つは「みんなの声委員会」という組織のワーキンググループが、様々な媒体から寄せられるすべての「声」を収集して分類し、適切な組織に振り分けるという方法です。

「みんなの声委員会」とは、お客さまの声を聴き、形にしていくために社内の重要な組織として設置された組織で、頭取を委員長に、社外取締役を含めた全役員および各部門の部門長で構成されております。

このワーキンググループが、webフォームやコンタクトセンターに寄せられるお問い合わせ、SNSの投稿など、すべての「声」を収集し、事前に登録したキーワードのフラグ立てをした上で、適切な組織に振り分けると同時に、全役員および各部門長が出席するみんなの声委員会にて分析結果や対応状況、今後の対応方針を報告しています。みんなの声委員会について詳しくはこちらをご覧ください。

画像1

もう一つは、UXリサーチャーやサービスデザイナーが中心となって行うデプスインタビュー調査です。

「みんなの声委員会」のワーキンググループが収集する「声」は、既存サービスに対する顕在化したお困り事やご要望が多くを占めています。より潜在的な課題や既存サービスの延長線にない気付きを得るためには、より深くお客さまを理解する必要があります。
そこで私たちは定期的にデプスインタビュー調査を行い、潜在的な「声」を引き出し、より深い洞察が得られるように取り組んでいるのです。

「声」の活かし方①:サービス改善

次に、集めたお客さまの「声」をどのように活かしているのかご紹介したいと思います。
一つは、サービス改善への活用です。

みんなの銀行では、一定のスピードとクオリティを実現するために、「預金」「決済」「融資」といった機能単位でユニットが編成され、検討・開発を進めています(一方でサイロ化を避けるために、ユニット間の橋渡しの役割を持たせた横断組織もありますが、そちらはまた別の機会にご紹介したいと思います)。

私が参加するユニットでは、お客さまの「声」をサービス改善に活かすためのアプローチがいくつかありますが、ワーキンググループから受け取る「声」の活用方法を一つご紹介します。

各ユニットはワーキンググループが収集、整理したお客さまの「声」を毎月受け取るのですが、私たちはそれをまず少数メンバーで「カスタマージャーニー×問い合わせ種類」の表(下図:イメージ)に分類し、お客さまがどのタイミングでどのようなお困り事やご要望を持たれているのか、だれが見ても一目で分かる状態に整理します。

ユニットや時期によって異なりますが、1ユニット当たり毎月500~1,500件程の「声」を受け取りますので、ユニットメンバー全員が同じ理解でいるためにも、分かり易く可視化することは重要なことだと考えています。

3_差し替え

こうして分類した「声」をさらに共通項でくくり、数十件程度に集約していきます。
集約が完了した時点でユニットメンバー全員に展開し「需要性が高いか」「お客さまの体験向上につながるか」「機能の本質に関わるか」「実現可能か」といった観点から優先順位を付け、取り組むべき課題を絞り込みます。

またこの時忘れてはいけないのが「みんなの銀行らしいか」という観点です。
できればいただいた「声」全てに対応していきたい気持ちもありますが、全てフラットにカタチにすると、みんなの銀行の目指すコンセプトやUI/UXとは異なるプロダクトになる可能性もあるため、常にミッション・ビジョン・バリューに照らし合わせながら、どの「声」から取り組むべきかを議論しています。

そのようにして「声」に優先順位を付け、対応策まで合意できた時点で、バックログへ起票し、開発フェーズへと進んでいくのです。

「声」の活かし方②:ブランド戦略

もう一つは、ブランド戦略への活用です。
みんなの銀行は、従来の銀行とは一線を画すシンプルな設計や洗練された世界観を評価いただき、国内外のデザイン賞を多数受賞しています。
「Red Dot Design Award 2021」受賞インタビューはこちら

しかしこれらの受賞は、あくまで2021年5月のサービス提供開始前に立てた仮説のブランド戦略が評価されたものであるので、これに満足することなく、実際のお客さまのご利用状況を加味しながらアップデートしていく必要があると考えています。

そこでアプローチの一つとして、これまでデプスインタビュー調査を通して得られた洞察を活かし、ブランドターゲットをより詳細にアップデートする取組みを推進しています。

その時に役に立つのが、Fjordが策定したお金の価値観によるポジショニングマップ「マネーマインドセット」です。
このマップはお金に関する「視点」と「判断基準」で軸が作られており、これまでのような年齢や性別、収入といった基本的な属性ではなく、お金への接し方や信条といった価値観でお客さまを理解するためのツールです。
インタビューを通してお金に関する潜在的な価値観が明らかになるので、あらためてこのマップに、インタビューに答えてくれた方を当てはめて整理します。

どのような価値観を持った人が、どのようなことをみんなの銀行に期待しているのかを、視覚的に把握することができるので、ブランド戦略の関係メンバーは共通理解のもと議論することができるのです。

画像3

このように現在のお客さまのご利用状況を加味しながらより解像度の高いブランドターゲットへとアップデートすることで、ブランドの強みとして残し磨いていく部分、現状とのギャップがありストレッチが必要な部分を整理しています。

「声」を活かすために

このようにお客さまの「声」を起点としながら物事を進めていくためには、みんなの銀行全体の共通理解が必要で、スタッフのマインドセットを揃える必要があります。

そこで最近、キャリア採用の新入社員が最初に受けるオンボーディング研修の中に、お客さまの「声」に触れるプログラムを取り入れました。
これから一緒にみんなの銀行をつくっていくスタッフに、最初の入り口でお客さまの「声」に向き合うことの大切さを感じてもらうことが狙いです。

具体的には、オンボーディング研修に参加する新入社員に、お客さまの「声」に触れる活動の概要説明や直近の「声」の紹介を行い、過去のデプスインタビュー調査の記録映像を見てもらいながら、各自の気づきを付箋に書き出し、一緒に構造化してもらいます。研修を通し、新入社員がお客様の「声」に向き合う際の全体フローを体感できるような構成にしています。

まだ2022年1月に始めたばかりですので、明確な効果までは計れていませんが、研修に参加した新入社員からは、「声を発する立場から、入社して受け止める立場になり、実際のお客さまの声を聴くのは初めての体験だったので、大変興味深かった」「サービスの先にお客さまがいるということを再認識できた」といった感想も寄せられているので、この研修が、お客さまの「声」に向き合うきっかけになるよう継続していきたいと思います。

最後に

私たちがどのようにお客さまの「声」に向き合い、それをどのようにサービス改善やブランド戦略に活かしているのかをご紹介させていただきました。

現時点ではお客さまの「声」すべてに即時に対応することは難しいですが、お客さまの「声」に真摯に向き合い、より良いサービスにアップデートしていきたいと思っています。ぜひ長い目でみんなの銀行にお付き合いいただくと共に、引き続き、皆さまからのたくさんの「声」をwebフォームやコンタクトセンター、SNS投稿などからお寄せいただければと願っております。

筆者紹介

画像4

林祐太朗
みんなの銀行 サービスデザイナー。
大手メーカーにて商品のプロダクトデザインや空間UXデザインを担当。その後同社の新規事業の立ち上げに参画し、事業コンセプトの構築からデザインディレクションまで一気通貫で主導。
デジタル領域への興味と福岡へのUターン熱が高まり2021年10月にみんなの銀行に参画。約11年ぶりの福岡を満喫中。


更新情報は Twitter でおつたえします☺