[Z世代の購買行動調査]Z世代は何にお金をかけている?最も多い購入のきっかけは?
こんにちは、マネーインサイトラボです。デジタルネイティブ世代のお金事情に関する調査・研究を行っています。
今回は第6回目のリサーチ「Z世代の購買行動調査」について、ご紹介したいと思います。
Z世代(18~26歳)、Y世代(27歳~42歳)、X世代(43~58歳)計14,998名を対象に購買行動を調査し、Z世代をX・Y世代と比較したり、また同じZ世代の中でも職業などの条件に分け、その特徴を分析したりした結果、5つの傾向が見えてきました。
【傾向1】「推し活」にお金をかける
まず最初に、25個の項目から「お金をかけているもの」をすべて選択してもらい、Z世代が何にお金をかけているのかを探ってみました。
Z世代がX・Y世代と大きく異なる結果となった項目の1つが「推し活(有名人やキャラクター等を応援する活動)」。
X世代が6.7%、Y世代が14.1%であったのに対し、Z世代は34.3%と、およそ3人に1人が推し活にお金をかけていると回答しています(図1)。
また、Z世代で推し活にお金をかけている人の特徴を探ってみると、意外にも毎月自由に使えるお金が少額である人の方が、推し活にお金をかけているという結果が見えてきました。
毎月自由に使えるお金が1円~1万円未満の人の約4割が「推し活にお金をかけている」と回答し、月1万円以上自由に使えるお金がある人よりも多い結果となりました(図2)。
続いて、推し活にお金をかけているZ世代に「お金を借りてでもしたいと思うもの」を伺ったところ、半数が「推し活」を選択(図3)。
学生など、まだ自身のライフプランを立てていない層がこのように回答したとも考えられますが、「推し」にかける熱量が高く、自由に使えるお金が少なくても、この瞬間に価値を感じて、お金を借りてでも自分のニーズを満たしたいと思っているのかもしれません。
【傾向2】SNSをきっかけに購入する
次に、Z世代の購入のきっかけとなるチャネルについて調査してみました。
最も多かったのは「SNS」。Z世代の約8割にも及びます。また世代間で大きく差が開いているのも「SNS」です。
一方、それ以外のほとんどの項目がX・Y世代よりも低い結果となりました。やはりZ世代にとってSNSの影響はかなり大きいようです(図4)。
前述の「お金をかけているもの」の項目の中で、「ファッション」「美容」「ライブ・イベント」「推し活」にお金をかけていると回答した人は、SNSをきっかけに購入する割合がより高いことが分かりました(図5)。どれも9割近くに及びます。
「ファッション」や「美容」に関するモノ・サービスは、SNS上で、インフルエンサーによるレコメンドや一般人のリアルなレビューを数多く見ることができ、「ファッション」や「美容」にお金をかけているZ世代は情報源として活用していると推測できます。
また「ライブ・イベント」「推し活」にお金をかける場合、その対象となるアーティストやタレント自身、運営元やファンコミュニティによるSNSでの情報発信が第一の情報源になることが多く、このような結果になったと考えられます。
【傾向3】選ぶ基準は「見た目」「気分が高揚する」
3つ目は、モノ・サービスを選択する際の基準です。特にX・Y世代に比べて割合が高かった価値観を2つピックアップしてみました。
「見た目が良いモノ・サービスを選択する」と答えたZ世代は57.2%と半数以上です(図6)。この背景にもSNSの存在が垣間見えます。SNSで発信することが当たり前のZ世代にとっては、SNS映えする前提でモノやサービスを選ぶ人も少なくないのではないでしょうか。
また前述したように、Z世代はSNSをきっかけに購入する割合が高いことから、SNSでインフルエンサーやタレントが写真と共に発信しているのを目にして、「かわいい」「きれい」「かっこいい」「ミニマルでおしゃれ」と、見た目がきっかけで興味をもつことが多いと考えられます。
さらにそれを買った人もSNSに投稿することでその輪が広がっていくため、企業側も見た目を意識した商品を出すようになる、という循環が生まれているのではないでしょうか。
また、「気分が高揚するモノ・サービスを選択する」と答えた割合も他の世代よりも高いことが分かりました(図7)。
以上の2つの価値観を見るに、Z世代は他の世代と比べて、視覚的な感性や楽しさやワクワク感などの「感情的な価値」を重視していることが推測されます。
【傾向4】好きなものにお金を使いたい
前述してきたもの以外にも、Z世代の購買行動には他の世代と異なる傾向がいくつか見受けられました。それらの価値観について見ていきましょう。
「好きなものにお金を使いたい」と考えるZ世代は全体の7割以上にも及び、他の世代よりも高い割合となりました(図8)。時代の影響を受けた価値観の違いもありますが、ライフステージによる違いとも考えられます。
またZ世代に絞り、職業別に見てみると、特に「高校生」や「契約社員」にその傾向が顕著に見られます(図9)。
「サブスクに抵抗はない」というZ世代は約3割。Z世代だけで見れば3人に1人ですが、X世代と比べると約2倍の割合です(図10)。
コロナ禍で一気に会員数が増加した動画配信や音楽のサブスクなど、定額で利用し放題で、不要になったらすぐにやめることもできるサブスクは、他の世代に比べて収入が少ないZ世代にとって利用しやすいサービスであるとも言えます。
一方、中古品に関しては、他の世代よりもやや抵抗があるようで、中古品よりも新品派のほうが多い結果となりました(図11)。
【傾向5】推し活、美容・健康への投資意欲が高い
「何を購入するのであれ、絶対にお金を借りたくない」と考えるZ世代は35.4%。X・Y世代よりも多いことが分かりました(図12)。
逆に住宅ローンやカーローンを組むことが多いX・Y世代にとっては「お金を借りる」ということに対する抵抗感がZ世代よりも低いと考えられます。
では、「お金を借りても良い」と思っている人は、どんなシーンで借り入れたいと考えているのでしょうか?
「お金を借りてでもしたいこと」を回答してもらったところ、X・Y世代はほぼ同様の結果となり、「家や車・バイクの購入」に次いで、「子供の教育費」「旅行」「人との交際」と続きます。
一方Z世代はやや異なり、「推し活」「美容・健康への投資」が他の世代よりも高く、お金を借りてでもやりたいと考える人が多いようです(図13)。
おわりに
多様なZ世代を一言で括ることは難しいですが、やはり世代間で比較してみると、Z世代ならではの価値観や消費傾向も見えてきました。
今後もZ世代に留まらず、人々の「お金」に関する意識や価値観、行動を探っていきたいと思います。
調査概要
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