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「みんなの銀行」永吉副頭取に質問!デジタルバンクって、そもそも何ですか?(中編)

「みんなの『声』がカタチになる」をサービスコンセプトに掲げた国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」。デジタルネイティブ世代にとって、銀行が何かをしてくれると言われても「銀行にそもそもあまり期待してない」っていうのが本音なのでは? それを「みんなの銀行」の副頭取、永吉健一さんに正直にぶつけたところ「そうですよね」と、なぜか共感(笑)。そこから「かゆいところに手が届く」だけでなく「かゆいと思ってなかったところまで、かゆかったんだ!と気づかせてくれる」話が始まったのでした。
文:山村光春 写真:中村紀世志

↓ インタビュー前編はこちら

銀行にあるのは「要望」よりもまず「不満」?

――私たちの要望を聞いてくれる、ということなのですが、じゃあ銀行への要望は何かと言われても、あまり思い浮かばなくて。そもそも銀行にあまり期待していないかも(笑)。

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永吉:そうですよね(笑)。我々も既存の銀行でお客さまの意識調査や満足度調査などをするんですけど、要望というよりまず不満なんです。待ち時間が長い、手続きが煩雑、紙もいっぱい書かないといけない、判子も何個も押さないといけない、あるいは融通が利かない。一番例えられるのは、役所と同じようなカテゴリー。なので、まずはそこから。デジタルの力を使って、極力不満をそぎ落として、ストレスなく提供できるようにしようと。我々はそれを「フリクションレス」というキーワードで目指しています。これはまさにフリクション、制約とか煩わしさみたいなものを、レスだからなくすってことで。

――現実的にはそれって可能なんですか?

永吉:実は今の法律に準拠して最低限やらなければならない事だけをカタチにしていくと、ものすごく小さなプロセスで済むんですよ。そうする事で処理するスピードが速くなったりとか、手続きのステップを少なくしたりとか、そういった事を徹底して磨き込んでやる。そこを皆さんにご提供したいなっていうのが、まずあります。

何がいいか分からない「情報迷子」への助け船。

――まず、ということはいくつかあるんですね。

永吉:四つあります(笑)。二つ目は「ハイパーパーソナライズ」と言っているんですけど。今の世の中ググったら何でも分かるみたいな世界で、たくさんの情報と選択肢がありますよね。でも逆に多過ぎて、何が自分に合っているのかが、分からなくなってしまっている。

――調べるだけで疲れちゃいます。

永吉:我々のデジタルバンクは、デジタルであるが故に入力してもらった情報や、取引の履歴などが全部データ化されている。銀行の強みは、こうした情報が極めて正しくて、信頼できるというものなんです。お金を借りる場合、自分の職業や勤務先、年収とかをピッタリ入れないといけないから。そういう正しいデータを持っているので、一番最適な商品やサービスを最適なタイミングでこちらからチョイスして提案できるようになるんです。

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銀行の手数料も「コスパ」を感じるサブスクへ。

――なるほど、分かりやすい!

永吉:次の三つ目が一番分かりにくいんですけど、「成果主義へのシフト」を掲げています。要は自分が払った対価に対して、それに見合う提供価値が得られているかどうか。例えば銀行の営業時間外にATMを使ったり、振込したりすると手数料がかかりますよね。皆さんからは、高いと言われますけど(笑)、我々銀行からしたら、高いなんてとんでもない。お客さまの大切な資産を守るために必要な設備への投資だとか、セキュリティなどの体制を万全にとっている。そのためにかかるコスト分を、まさに手数料というカタチでいただいているわけなので。また仮に銀行が潰れても預金保険というカタチで1千万円までは戻ってくるといった仕組みも、我々が保険料を払って維持しています。

――そうなんですね。高いと思ってました(笑)。

永吉:じゃあ、なぜそう言われるかというと、手数料の体系が多岐に渡っていたり、複雑で分かりにくいから。であれば、もっとシンプルにすればいい。使って頂いているお客さまにはお得に感じていただけるように、サブスクリプション型のプレミアムサービスというものを考えています。日常生活の中で普通に銀行を使うぐらいの頻度であれば、絶対に損はしない。その他のサービスも含めてプラスになるような価値を提供できるのかなと思っています。

本アカ、サブアカ、趣味アカ……ぜんぶに寄り添う銀行。

――まさに分かりやすさこそがお得感につながると。

永吉:そうですね。あと最後の四つ目になるのが「コミュニティの重視」。表現は難しいですけど、例えば身近な人でいうと恋人だったり、家族だったり。ふたり以上の集まり、グループにフォーカスしたサービスを作ろうとしています。

――まさに複数、「みんなの銀行」の“みんな”ですね。

永吉:そう、複数という意味では今、若い人たちってInstagramTwitterなどのいろんなSNSアカウントを持ってますよね。しかも本アカの他に、サブアカとか、趣味アカとか、オタアカとか、いろんなアカウントを使い分けている。同じ人が使っているのに、はたから見ていたら、とても同一の人には見えない。さらにそれぞれのアカウントの先で、つながっているコミュニティがある。こういった複数の人格みたいなものを捉えたサービスって、世の中にはまだあまりないんです。

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――あ、確かにないかもです。

永吉:みんなの銀行は「新しい時代のSNSみたいな銀行を作る」というコンセプトで立ち上げているので、「銀行の世界にSNSのエッセンスを取り入れたら、どんなことができるだろうか」を、常にキーワードにしている。だから会議の場でも「それってSNSの世界だったら、しないよね」とか、逆に「SNSだったら、こんなことができるよ」みたいな話を、みんなでケンケンガクガクやってる。そこに目線を合わせながら、新しいサービスを作っているんです。こういうのが、今までのアプローチとは違うところですね。

今はまだ「入口」。ゴールだとは思わないでね。

――「お金のSNS」と言われているのは、そういう意味だったんですね。

永吉:さっき言われたように、銀行に対しては何も期待していないとか、あまり用がないみたいなイメージをとにかく払拭したい。銀行っぽくないとか、煩わしさがないとか。自分のことのように自分に合ったものを提案してくれるとか。払っている対価に対して、それに見合ったサービスが受けられるとか。もっと言うと、さっきのコミュニティみたいな概念も。今の銀行の口座やサービスって、基本的には口座名義人にだけ帰属している。つまり自分専用のサービスなんです。それを、夫婦で管理できるサービスとか、もっと言うと友達や部活などのグループでお金を貯めて使ったり、借りたりみたいなコンセプトのサービスや商品ができていくと面白いな、というのを、今考えています。

――想像できるレベルの事ではなく、その先にある「あればいいな」というものですよね。

永吉:そうですね。ぜひそういったサービスを作っていきたい。ただ最初は、やはり銀行が銀行たるゆえんの、基本的な機能がいるわけです。預金口座の開設も、お金を送る・借りるという機能も銀行ライセンスが必要なサービスなので、まずはそのフリクションレスを徹底する。煩わしさがなく、「こんなにスムーズに銀行の手続きや取引ができるんだ!」というサービスをまずは提供します。ただ我々のゴールはそこではない。あくまでも入口でしかなくて、その先ですよね。これまで銀行が提供してきた価値というものを、デジタルを起点にしたらどう変えてお届けできるかというのが、我々の目指している世界です。少しずつステップを踏みながら、進んでいこうと思っています。

↓ インタビュー後編へ続く


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※本文中の写真は、感染症対策を徹底のうえ撮影しています。


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