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「みんなの銀行」永吉副頭取に質問!デジタルバンクって、そもそも何ですか?(前編)

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進なんて、世の中が声高々に叫ぶまでもなく、小さい頃から当たり前にデジタルツールに囲まれて生活している世代にとって、銀行は「ちょっと遅れてるよね」といったイメージのようです。ではこれからの時代、銀行はどうなるのか。何がどう「デジタル」になるのか。 国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」の副頭取、永吉健一さんにぶっちゃけインタビュー。たっぷり3回にわたって「ここまでいいの?」というくらい、あれこれ本音を聞き出しました。
文:山村光春 写真:中村紀世志

服装もオフィスも「らしくない」のがいい?

――普段からそういった格好なんですか。

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永吉:そうですね。ほとんどネクタイをする事もないですし。オフィシャルな場でも、あえてしないようにしています。もともと銀行員に対するイメージって、世の中の人にとって、銀行=スーツにネクタイっていうイメージがあるじゃないですか。

――まさにそうですね。

永吉:それはある意味いい面もあるし、逆に言うと杓子定規でお堅いイメージもある。何となくきちっとしているから、自分のお金をきちんと守ってくれているんじゃないかなとか(笑)。

――あるいは融通がきかないとか。

永吉:そうですね。そっちにもなってしまうから。

――服装の持つパブリックイメージって、思ったより影響を与えてますよね。

永吉:強いですね。だから我々も新しい事業とかサービスを考えるのなら、スーツにネクタイじゃ堅苦しいよねって。さらに服装などのソフト面だけでは気分も乗らないし、今度はハードをいじろうということになって、フロアの内装やレイアウトも変えました。既存の銀行のオフィスにはこんな空間、存在しませんよね。

――確かに、全然銀行らしくないですね。

永吉:かつ、ここには引き出しとかもないんです。昔はデスクの両脇に書類を収納するキャビネットがあったんですけど。どうせ内装やレイアウトを変えるなら、この際捨てちゃおうみたいな。まぁ、デジタルの会社って言ってるわけですし、その代わりにいろんなミーティングスペースに大型モニターを置いてます。

――リモートはどうなっているのですか。

永吉:リモートワークはコロナが始まる前まではほとんどなかったですけど、今は増えてきてますね。特にエンジニアはフルリモートの人も多くて、最近見ないなぁなんてメンバーも結構いますよ。入社したてですぐリモートに入るエンジニアは、ほとんど顔を合わせる機会もなく分からない、みたいな(笑)。

既存の銀行とネット銀行との違いは、実は「あれ」しかない。

――まさに銀行も働き方もニューノーマルですね。ところでニュースなんかで「みんなの銀行」のことを表現するのに「国内初!」とか「デジタルネイティブ」っていう言葉をよく聞くんですが、業界の違う人間としては何がやねん(笑)となるのですが。

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永吉:そうですよね(笑)。我々は今回、「デジタルバンク」っていう言い方で、いろんなプレスやメディアにアピールしていますけど、最初に発表した時なんかはどうしても、記事の見出しが「地銀初のネット専業銀行」みたいになってしまうんです。我々からしたら、それはまったく本意ではなくて。地銀初でも、ネット専業銀行でもない。ひと括りにしてくれるな、という思いはすごくあるんです。

――でもなかなかそれが伝わらないと。

永吉:でもまあ、世の中の人からすると、デジタルバンクとネット銀行も同じではないかと思いますよね……。
まず最初に、リアルな店舗を持つ既存の銀行と、ネット銀行の違いについてお話した方がよいですよね。誤解を恐れずに言えば、この二つの違いは、「リアルな店舗があるかないか」といったこと以外、実はほとんど変わらないんです。

――あれ? そうなんですね(笑)。

永吉:既存の銀行のようにリアルな店舗があると、どうしてもハード(不動産など)としてのコストはかかるし、そこで働く人も雇わないといけないので人件費もかかる。いろんな意味でお金がかかるんです。だから、店舗を持たないネット銀行は、既存の銀行に比べると、効率的に事業ができるんですよ。その分を、金利とか手数料というカタチでお客さまに還元できるというわけです。

――でも、店舗を持つ既存の銀行とネット銀行のシステムは違うわけですよね。

永吉:それも実は一緒なんです。ネット銀行だからといって、ものすごくテクノロジーを駆使した新しいシステムで動いているかというと、そういうわけではないんです。

「デジタルネイティブ」が意味するところ。

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――そうすると、デジタルバンクとネット銀行、何が違うんですか?

永吉:まずは、新しい商品を考える時ですね。これまでの銀行だと、ベースになるのは、全部既存の商品なんです。そこをユーザーの要望に応じて、少しずつカスタマイズして作っていく、みたいなプロセス。新しい商品、と言いながらも、既存の商品の延長線上にあるんです。だからその後ろ側で行われる業務のプロセスや、それを実行するためのシステムなんかも当然踏襲されていて、これまでの仕組みとほぼ一緒みたいな感じです。それに対して、我々のデジタルバンクでは全てをゼロからつくっている。既存の商品や業務プロセス、システムの「しがらみ」を考えなくてよいので、どう作ろう、どうやって処理しよう、そのために必要なシステムは?を何もないところからデジタルを起点に考えることができる。これが「デジタルネイティブ」であるがゆえの、一つ目の大きな違いなんです。

――もう少し具体的に教えていただけますか?

永吉:分かりやすく言うと、通帳やカードなんかがそう。銀行なら当たり前にあるという前提で、最近では無通帳にするとか、カードレスにするみたいなことを、追加のオプションとして後付けでやろうとしている。ただ我々はデジタルネイティブ、それを使う人たちもデジタルとの親和性が高いというのをベースにしているので、最初から通帳もいらない、キャッシュカードもかさばるのでないならないでいい、といったところを出発点として考えられる。それが一番の特徴かなと思います。

――もともと銀行にあったものが、実は今のニーズには合っていない、ということ?

永吉:それもあると思います。銀行の金融商品っていうのは、一般的にはよく「コモディティ化」していると言われています。メガバンクだろうと、ネット銀行だろうと、地銀だろうと、信用金庫・信用組合だろうと、実は金太郎飴みたいに基本的な内容は一緒。何が違うかと言うと、金利とか手数料とか特典、あと商品名とか(笑)。それくらいの差しかなくて、どこかの銀行が作った新しい金融商品が売れれば「これ売れてるらしいよ」となって、他の銀行がそれを真似してまた作るんです。だからあっという間に同じような商品がすべての金融機関に広がっていく。でも我々が拠りどころにするのは、他の銀行がどうとかではなく、お客さまのニーズと課題が全てなんです。デジタルネイティブ世代と呼ばれる若年層ユーザーにフォーカスして、どんなものがあったら一番嬉しいのか、いろいろな要望を聞きながら作っていける。みんなの銀行のサービスコンセプトの一つに「みんなの『声』がカタチになる」というのがあるのですが、これが二つ目の「デジタルネイティブ」という意味のアプローチなんです。

↓ インタビュー中編に続く


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※本文中の写真は、感染症対策を徹底のうえ撮影しています。


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