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「みんなの銀行」のIT責任者、宮本氏に質問!銀行のアプリって、ホントに使えるんですか?(前編)

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ピッ!とスマホひとつで、カンタンにお金のやりとりができる今。それが「当たり前」のデジタルネイティブ世代にとって、銀行は「ちゃんとしてそうだけど、ちょっと面倒」なイメージがあるようです。じゃあこれからの時代、銀行はどうなるのか。みんなの生活にどう役に立つのか。そこのところを国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」のIT責任者、宮本昌明執行役員にインタビュー。一般ユーザーはもちろん、エンジニアとして働いてるあなたはとくに「へぇ!」「ほぉ!」「はぁ!」が止まらない?
文:山村光春 写真:中村紀世志

IT業界と銀行の違いって?

―― まずはここに至るまでの経歴からお聞かせください。

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宮本:大学院を修了して、東京のコンサルファームでSEとして働いたあと、ネットショッピングサイトの上に新しく銀行支店をつくる仕事をしていました。その後ほかのネット銀行でインフラに関わる仕事を経て、今に至ります。

――最初はIT業界からで、その後、金融に入ったんですね。転職のきっかけは何でしょうか?

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宮本:仕事の進め方として、一つひとつをしっかりやりたかったので。それができる銀行のシステムに関わりたいと思ったのがきっかけでもあるんです。

――その「しっかり」が、銀行らしさともつながっていると。

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宮本:そうだと思っています。今までの銀行システムのアプリ品質確保というのは、作るものやテスト工程にもよるのですが、ものづくりをした後に石橋を叩いて叩いて叩きまくって小さなひびさえ入ってない事を確認する、というのが常識でした。でも、みんなの銀行では、今までの銀行のやり方とは違う取組みをしていて。ものづくりの横でテストプログラムを書いて、作ったそばから勝手にテストしてくれて、何か間違ったらリアルタイムで「あ、ここ直さなきゃ」と分かる、という方法を目指していきます。開発プロセス自体を、従来のやり方から脱却していくわけです。もちろんその後に多くのプログラムを繋げて一気通貫のテストは従来通りやります。

信頼できて、何でも便利にできるのが「当たり前」

――なるほど。これまでしっかりやるがゆえに、スピード感に欠けていたところが、変わってきているということでしょうか。

宮本:そうですね。例えば、作りたいものをしっかり文書化して細かなエラー処理まで決めたのち、開発の見積もりを取って、予算取って、契約書交わして、開発環境整えて、さぁ開発開始だ!というのではなく、細かい所は作りながらエンジニアと一緒に決めていき、文書もプログラムもそのテストプログラムも並行して作って行くような姿を目指したいと思っています。インフラも同様に、従来はネットワークケーブルの差し込み口を何個のモデルにするか、始めから余裕を持って機械を検討する必要があります。もしくはディスクが足りなくなった場合、あとで足すためには、最初から足せる構成でつくっておかなければならない。これは拡張性ですね。ある程度は未来を考慮して設計をするのが、これまでのインフラの当たり前でした。アプリケーションと同じように、これをもとに見積もりをして予算とって……、と続くわけです。今は、最初からそこまで考えなくても、クラウドでつくっておけば、欲しくなった時にポチッとすれば増える。時代が変われば、やり方も変わる。仕事の進め方も変わる、みたいな感じです。


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――そうした変化を受け入れながら、信頼性も担保させる。

宮本:やはり信頼がおけるシステムやアプリじゃないと使ってもらえないですから。銀行は特に。信頼がおけて、便利で、何でもできるというのが、求められる姿と目指す先として当たり前なんです。

銀行は、ちょっと上から目線!?

――宮本さんは「みんなの銀行」で、どのような役割を担われているのですか。

宮本:まずエンジニア集団の「ゼロバンク・デザインファクトリー※(以下、ZDF)」と、そのシステムを使っている「みんなの銀行」という組織があります。「みんなの銀行」の中にもIT部門があるのですが、そこと「ZDF」をまとめて、ITの責任者としての役割をいただいています。

※ZDFは、みんなの銀行と同じく、ふくおかフィナンシャルグループの一員で、みんなの銀行のバンキングシステムを開発しています。

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――では、どっちもの気持ちも理解できてないと?

宮本:そうですね。今までは銀行のIT部門と、発注を受けるベンダーさんは分断されていました。会社も違っていたし、請負契約のようにやっていたので。銀行は、発注者目線、「契約巻いたからにはお願いしますよ。」みたいな立場が世の中一般的ですね。だけど、この「みんなの銀行」と「ZDF」は、両輪。組織は分けていますけど、どちらが上でもなく同じものを一緒に作る一体運営をしています。「僕はZDF」だ、「僕はみんなの銀行だ」という主張は、一切してはいけないと思ってます。ひとつのいいものをつくるという目標は同じで、役割が違うだけなので。仕様が上から降りてきて「エンジニアはそれを黙ってつくればいいんだ」という、昔ながらのやり方ではなく。「こんなのが欲しい」「じゃあこんな風にすれば解決できるんじゃないの」とか、「ちょっとつくってみたけど、活用できないだろうか」と、エンジニアのほうから提案できたり、行員のほうから「作ろうとしたら思ったより難しくて工数かかりそうなので何か他に要件落とせないか考えてみる」というのを。「つくってみたい!」と思えるひとつのものを、二人三脚でお互い持ちつ持たれつしながら協力してつくり上げていくことを理想としています。

つくりたいのは、毎日使いたくなるSNSのようなアプリ。

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――では、エンジニアのみなさんが「つくってみたい」って思えるアプリとは、どういうものなのでしょう。

宮本:自分がもしアプリエンジニアを目指すなら、「世の中のたくさんの人に、いつも使われているようなアプリをつくりたい」と思うんじゃないでしょうか。たとえばコミュニケーションアプリなんて、毎日何回も使いますよね。そういうものに興味を引かれると思います。

――要するに、ユーザー側の気持ちですよね。エンジニアの方は技術的なことばかり考えているイメージもあったのですが、今は違うんですね。

宮本:はい、どっちも考えていますね。むしろその両面を考えられる、優秀なエンジニアと一緒に仕事がしたいと思っています。

――そういう仕組みやチームができる事によって、私たちにはどんなメリットがもたらされるのでしょう。

宮本:まずアプリを見ていただくと「今までの銀行のアプリと全然違うな」というのは、感覚で分かると思います。例えば、文字なんてほとんどなくて、イラストばっかりだったりするんですよ。

――確かに、イラストが立っていてかわいいですね。機能においては?

宮本:今は銀行のアプリって、お金をおろす時、残高を調べる時、あるいは住宅ローンを返す時くらいしか開かないと思うんです。そうじゃなくて、日頃のちょっとしたお金のからむ決済。電車やバスに乗る時もそうだし、飲食する時もそう。このようなシーンは、1日の中で何回もあるはず。そこにいつも「みんなの銀行」が出てくるみたいなアプリにしたい。自分たちはこれを「みんなの『暮らし』に溶け込む」と言っているんですけど。そのためには、今すぐ思いつくようなサービスである必要もないと思っているんです。

今すぐ思いつく必要もない?それってどういうこと? 気になったあなた、続きは後編へ。

↓ インタビュー後編へ続く


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※本文中の写真は、感染症対策を徹底のうえ撮影しています。


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