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お金のことを話してみる「みんなの銀行の日」レポート(4/4最終回)

ーーみんなの銀行では3月7日を「みんなの銀行の日」として記念日制定し、「#お金のこと話してみよう」をテーマとしたアンケートやトークセッションを行いました。その模様を複数回にわたり『note』でお届けしてきましたが、今回が連載最終回となります。※スピーカーの皆さまのご了解はいただいております。

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Clubhouseトークセッションのスピーカー
上野直彦氏(一般社団法人 日本ブロックチェーン協会事務局長)
中村仁氏(株式会社400F 代表取締役CEO)
福島良典氏(株式会社LayerX 代表取締役CEO)
永吉健一(株式会社みんなの銀行 副頭取)

↓「みんなの銀行の日」レポート連載第1回~第3回はこちら

CBDCの盛り上がりは、銀行含めて「お金のデジタル化の象徴」(福島良典さん/LayerX 代表取締役CEO)

永吉:福島さんから決済のお話も出ましたけど、福島さん、上野さんのお二人は日本ブロックチェーン協会の関係者をされてますよね。CBDC(中央銀行デジタル通貨)については、まだまだ一般の人には馴染みがないかもしれませんが、日銀が実証実験を始めたりしていて、議論も深まりつつあるのかなと思っています。このCBDCが実現すると、お金との付き合い方や未来の金融がどのように変わっていくのでしょうか。このあたりについてビジョンを聞かせて欲しいのですが。

福島:CBDCっていう概念が出てきたこと自体、消費者側の「勝ち」ですよね。なぜなら、CBDCによって、今まで中央銀行含めて一切競争にさらされていなかった決済システム、例えば全国銀行資金決済ネットワークとか日本銀行金融ネットワークシステム、またCAFIS(NTTデータが運営するキャッシュレス決済プラットフォーム)のような巨大なネットワークに、競争が持ち込まれ始めたことになります。全銀システムの手数料が下がり、CAFISの手数料が下がり、銀行以外の資金移動業にも決済ネットワークを開放しようというルールに変わってきているんです。つまり消費者にもたらされる利便性は上がった、あるいは今後開発されるシステムで利便性が上がることが決まったので、CBDCっていう概念が出てきた時点で、消費者側が勝利したって感じですよね(笑)。

全員:(笑)。

福島:興味深いのは、これによりこれまで注目されていなかった決済システムとか、銀行の裏側のシステムとかにもメスが入ったっていうこと。20~30年くらい一切変わっていなかったものが今一気に動き出したんですから、ものすごい変化ですよね。

日本の決済システムのフリクションの要因のほとんどは、決済システムや、それに合わせた慣習的なルール作りのところがガチガチに固まっているせいだと思うんです。銀行だとAML(アンチ・マネー・ローンダリング)が課題になっていますが、デジタル化されて共有のAMLのプログラムが動くようになったら、銀行のコストってかなり下がるはずですよね。CBDCみたいな共通決済システムの概念が出てくることによって、銀行とか決済業者が個々で負担していたコストが劇的に下がるはず。請求データを載せることで与信にかかっていたコストが下がったように、様々なことが起こるんじゃないかなって。日本でも10年20年かけて確実に起こっていくことかなと思っています。本当の意味でデジタルバンキングとかお金がデジタル化することの象徴として、CBDCが盛り上がっているのかなって思っています。

永吉:銀行の後ろ側の仕組みって、一般の人には全く見えない世界なんですけど、福島さんのおっしゃる通り、新しい技術でコストを抑えながら、新しい価値を提供していくフェーズに入ってきているかなと思います。2014年~2015年の頃、僕が「銀行やFinTechの新しいサービス」を考えていた時に、銀行以外の業界の方々とよくお話しさせていただきましたが、そのときに感じたのは、彼らが僕たち銀行員以上に真剣に「銀行や金融の未来」を考えていたということ。自分自身、もっと真剣に考えていかないとヤバイなという危機感を覚えた記憶があります。

【keyword 5金融リテラシー・金融教育

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永吉: さて「#お金のこと話してみよう」のハッシュタグツイートで寄せられた質問にもお答えしていきたいと思います。5つ目のキーワード「金融リテラシー・金融教育」に関しては次のようなコメントをいただきました。

若い人たちがマネーリテラシーの低い状態で社会にいきなり飛び出していく今の現状に違和感があります。新しい銀行のカタチとしてデジタルネイティブ世代にどのようにアプローチをしていくことを考えているのか気になります。

こちらは「新しい銀行のカタチ」ということですので、みんなの銀行に対する問いであると思うのですが、ぜひスピーカーの皆さんにもコメントいただければと思います。

日本はポイント大国。ポイント投資を通して、若い世代の金融リテラシーを向上させることができるのでは(中村仁さん/400F 代表取締役CEO)

中村:リテラシーという面でいうと、「金融って自転車みたいなものだよね」という話をよくしています。自転車は、自転車の教科書を読めば乗れるというものではなく、まずは乗って慣れていくものですよね。お金に関しても同じで、やはりいかにサクッとやり始められるかというのが重要だと思っています。

先ほど福島さんが○○ペイのボーナス運用の話をされましたが、『お金のデザイン』でもドコモとdポイント投資をやっていて。投資の入り口を徹底的に下げるため、2タップ以内くらいで完了するように設計していました。そうすると実際に『THEO⁺ドコモ』(ドコモとお金のデザインが提携して開始した資産運用サービス)でポイント投資をやったという人が増えてきたんです。

ポイント投資の何が良いかというと、ポイントなので若い世代もできるということ。自分で色々運用しながら、これってどういうことなのか?という疑問を「自分ごと」として考えていけるからなのでは、思っています。
日本はポイント大国ですし、ポイント投資を通して金融リテラシーを向上させることができるのでは。ただ単に座学として学ぶだけではなくて、若い世代も「へぇ~」という感じで、学んでもらえるのではないのかなと思っています。

永吉:そうですよね。僕も、中村さんが『お金のデザイン』にいらっしゃる頃にその話を聞いて、まさにその通りだなと思いました。iBankマーケティングの『Wallet+』(銀行口座の残高照会や入出金明細をスマホで確認できるアプリ)でも銀行の取引などでもらったポイントを『THEO+』に追加投資できるポイント投資をやっていますのでよろしければ是非。


若い世代にとっては、投資は難しいというイメージがあって、それを自分のお金で投資しようとすると、やっぱり怖いなという不安もあるんだろうなと思います。でも、ポイントだと「もらったものだし、お金ではないので無くなってもいいや」という、始めるにあたっての踏ん切りもつきやすいのかもしれませんね。ポイントを運用しながら、どういう時に上がるのか、下がるのか、といったことを日々の中で実感していくのがすごく重要なんじゃないかなと思っていて。ポイント運用していた人たちが、その後に自分の本当のお金を使って実際に投資し始める話を聞いたりすると、すごく嬉しくなります。

さて、あっという間に時間が経ってしまいました。最後にスピーカーの皆さんから一言ずつお願いできればと思います。

小学生の年代が勝負。ゲームなどを通して、早い段階で「お金を稼ぐ」体験を(上野直彦さん/日本ブロックチェーン協会事務局長)

上野:まずはこのような素晴らしい機会を作っていただいて、ありがとうございました。このメンバーでお話できてとても面白かったです。視聴してくれるオーディエンスは正直100名くらいかなと思っていたら、200名を超えていたので、やはりこのコロナ禍でお金まわりのことで不安に思う人も多いのかなと思いました。

日本ではそんなタイミングでCBDCができて、ようやくこういう議論ができるようになったし、「お金のデジタル化」は本当に避けて通れないところです。でも「お金のデジタル化」をした時に、一人ひとりに対してどうコミットしていくのか、というのはまだ「解」がないわけで。こういったトークセッションを通して、みんなで金融リテラシーを上げていって、これを機会に実際にコミットしていく、という形がとれたらいいなぁと思います。

個人的には、二十歳くらいから株式投資を始めていますが、やはり日本ってその時代からあまり金融リテラシーが上がっていないと感じています。小学生の年代が勝負かもしれません。アプリやゲーム、ポイント制でもいいので早い段階でリアルにお金を稼ぐという体験をすることは、国にとってもコミュニティにとっても、プラスになるのではと思っています。オーディエンスの皆さんにも本当に感謝します。今後、トークセッション第2弾をやれたら嬉しいです!

中村:ずっと金融業界にいて感じていることは、やはりテクノロジーの発展でアセットの選び方みたいなところのハードルも変わってきていますし、相談みたいなところも変わってきています。そして、みんなの銀行さんがやるような、そもそもの本命である銀行そのものについても変わってきていて、ここから5年、10年先がすごく楽しみだと思っています。今まで不自由を感じていたものの利便性が高まっていくので、ここから法制度なども含めて、どんどん日本は良くなっていくような気がします! そして、そういった世界をみんなで創っていけたら。またぜひよろしくお願いします。

福島:参加した私自身がすごく勉強になりました。ありがとうございました。会社としては引き続き僕らもお金まわりといいますか、「価値のインターネット」といったところにまずコミットしていこうと思っていますので、これから皆さんと交わるところもあるのかなと思います。オーディエンスの皆さんは、こういったことに興味がある方も多いと思いますので、事業とか商品とか含めてご一緒できる機会があればと思いますし、それでこの業界を盛り上げていきたいなと思います。

永吉:またこのような機会を作り、皆さんとつながっていければいいなと思います。みんなの銀行は5月下旬のサービス提供開始に向けて、これからも様々な情報を発信していきます。みんなの銀行では「みんなでつくる、みんなの銀行」をコンセプトにしていますので、5月下旬のサービス提供開始後には、ぜひ皆さんに実際に使っていただき、たくさんの声を寄せていただければ嬉しいです。スピーカーの皆さん、オーディエンスの皆さん、今日はどうもありがとうございました!

(Clubhouseトークセッション終了)

「みんなの銀行の日」は来年以降も続きます。

――今回初めての試みにも関わらず、TwitterとClubhouseでたくさんの方々にご参加いただいた「みんなの銀行の日」ですが、もちろん2022年以降も毎年続けたいと思っています。「#お金のこと話してみよう」という気持ちが自然と生まれてきて、身近な人たちと楽しくお金の話ができるような世界ができたら、という想いを込めて。

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