「みんなの銀行」がイラストを採用したワケ
はじめまして! アプリの設計・デザインを担当しているGOです。みんなの銀行のブランドを体現する大切な要素の一つ「イラスト」について、採用の理由、その背景や思いなどをお話しします。
銀行に対してどんなイメージを持っていますか?
お堅い、難しい、面倒くさそう……そんなところですよね。私たちは「みんなに価値あるつながりを。」というミッションの実現を目指し、「銀行らしさからの脱却」というバリュー(共通の価値観)を掲げています。
でも既存の「銀行らしさ」って何でしょう? かの有名な歌舞伎役者の座右の銘に「型を身につけなければ型破りにはなれない」という言葉があります。
私たちも既存の「銀行らしさ」を改めて知るべく、みんなで話し合いました。メインターゲットとしているデジタルネイティブ世代の若手銀行員、そして既存の「銀行らしさ」をよく知るベテラン銀行員と一緒に。他の銀行サービスに触れ「銀行らしさ」ということを改めて考え、言語化しました。前述したイメージの通り、やっぱり「金融」や「銀行」という言葉を聞くだけで、構えてしまう人が多いですね……。
私たちはそんな銀行に対するネガティブなイメージを払拭するために、デザイン原則に則り、快適な操作性や迷わないシンプルさを突き詰め、ミニマルなサービス設計を目指してきました。
その上で、もっと「みんなの銀行らしさ」を表現するような個性、何かもうひとつピースの必要性を感じ始め……その打開策としてあがったのが、イラストでした。
デジタルネイティブ世代の感覚を持つイラストレーター、世戸ヒロアキさん
Instagramに代表されるように、ビジュアルコミュニケーションの時代へと急速に変化しています。イラストは写真に比べて他のブランドとの違いを生み出し、独自の世界観を構築しやすい特徴があります。イラストの中に、流行に敏感なデジタルネイティブ世代のファッションやライフシーンを取り入れて発信していくことで、お客さまに(銀行だけれども)カジュアルで先進性のあるサービスと感じてもらいたい。そういった思いから、みんなの銀行でイラストの採用が決まったのでした。
それからデザインチームで手分けして候補となるイラストレーターを探しました。デジタルネイティブ世代の感覚を持ち、みんなの銀行の思いに共感し一緒に世界観を作っていけるような人を求めて。そうして出会ったのが、世戸ヒロアキさん。
世戸さんは広告代理店の営業を4年間経験した後、脱サラしてイラストレーターに転身したという経歴の持ち主。多様性の時代を体現するかのように今の時代を生きる世戸さんと、そんな彼が描くイラストは、みんなの銀行の求めるものにぴったりだと思いました。さらに、私たちの開発拠点のひとつである福岡県ご出身というご縁もあって、「このプロジェクトにぜひ参加していただきたい!」と満場一致で決まりました。
みんなの銀行の世界観とイラストの親和性を高めるための、4つのルール
世戸さんにイラストを描いていただくにあたって、開発中のみんなの銀行の世界観と喧嘩しないよう、親和性を高めるために4つのルールを設けました。
ブランドカラーの白黒を使用する
みんなの銀行ブランドカラーの白と黒を使うこと。イラストが浮かないようにアプリやブランドと一体化させること。
シンプル&ユニークな構成に
シンプルな描き込みにすること。
有機的な「人感」を大事にする
直線や曲線も計算し尽くされた線ではなく、人の手で描いたようなゆらぎや筆圧を表現すること。銀行特有の生真面目な雰囲気から脱却すること。
幼くなりすぎない 程よい成熟感を
デジタルネイティブ世代がメインターゲットに向けて、イラストは幼さの残る可愛らしさではなく、ある種の成熟感を含んだ表現を狙うこと。
これらの4つのルールをふまえて、世戸さんとディスカッションを重ねがら様々なラフを描いてもらいました。
たくさんのラフの中から2案を厳選してから、本プロジェクトに関わる120名以上のスタッフを対象にアンケートを実施。その結果をみて、最終的にデザインチームでジャッジしたのですが、このようにしてみんなの銀行オリジナルイラスト「Minna」シリーズは完成しました。
無機的な印象の金融サービスに、命が吹き込まれた瞬間
そもそもイラストの語源って何だろう? 「イラスト」の語源を調べてみると、ラテン語で「照らす、明るくする(Lustrare)」、さらに遡ると「光(lux)」や「イルミネーション(illuminate)」から転じて「分かりやすい」という意味がありました。この意味の通り、世戸さんに描いていただいたイラストも、「みんなの銀行ブランド」に魅力と分かりやすさを添えてくれました。
金融系のサービスは数字などの文字情報がメインで、また色合いも安心感、信頼感を想起させるようなブルー、グレーを採用するケースが比較的多いので、結果として無機的な印象になりがちです。しかし、このイラストが初めてアプリに置かれた時、(少し大袈裟かもしれませんが)みんなの銀行のサービスに命が吹き込まれ、そこに感情が芽生えたような感覚を覚えましたし、みんなの銀行のデザイン原則の一つである「Playful」(遊び心)を体現していると感じました。
これが、みんなの銀行がイラストを採用したワケです。お客さまがみんなの銀行アプリに愛着を持っていただき、毎日アプリを開くのを楽しみなっていただけるように。さらに、アイコンや写真では表現しきれないものをイラストで描くことにより、銀行という枠を超え、皆さまの普段の生活のインスピレーションとなるような存在になることを、心から願っています。
筆者紹介
河田 豪(写真右)
みんなの銀行 デザイングループ プロダクトデザイナーとしてアプリの設計・デザイン及びイラストのディレクションを担当。福岡出身。多摩美術大学を卒業後、広告制作会社、インターネット事業会社を経て、その後フリーランスとして独立し日本及びカナダで活動。2020年に福岡へUターン就職し、みんなの銀行プロジェクトに参画。趣味はNBAと格闘技観戦。
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