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お金のことを話してみる「みんなの銀行の日」レポート(2/4)

――みんなの銀行では3月7日を「みんなの銀行の日」として記念日制定し、「#お金のこと話してみよう」をテーマとしたアンケートやトークセッションを行いました。全4回でお送りする本連載(第2回)では、3月7日に行ったトークセッションの模様を引き続き紹介していきます。※スピーカーの皆さまのご了解はいただいております。

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Clubhouseトークセッションのスピーカー
上野直彦氏(一般社団法人 日本ブロックチェーン協会事務局長)
中村仁氏(株式会社400F 代表取締役CEO)
福島良典氏(株式会社LayerX 代表取締役CEO)
永吉健一(株式会社みんなの銀行 副頭取)

↓「みんなの銀行の日」レポート連載第1回はこちら

「#お金のこと話してみよう」Twitterに寄せられたご意見は……

永吉:Twitterのアンケートとは別に、「#お金のこと話してみよう」というハッシュタグツイートで、皆さんからご意見をいただいています。ご意見をキーワードで分類すると、5つの傾向に分けられるのかなと思っています。1つ目が「コロナ禍のお金との向き合い方」。2つ目が「新しいサービス・体験」。3つ目が「貯蓄・投資」。4つ目は「収支・家計の管理」。最後5つ目は「金融リテラシー・金融教育」。

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【keyword 1コロナ禍のお金との向き合い方

1つ目「コロナ禍のお金との向き合い方」に関するツイートをご紹介します。

コロナ禍で人と話す機会が減った。
飲食店に行って美味しかった、ありがとう、といったコミュニケーションが減っている。
(コミュニケーションが減って寂しいという観点で)クラウドファンディングや寄付をやるようになった
お金のコミュニケーションって、不思議な力があるよね
(シェアサイクルによく利用するようになって)お金を落とすエリアが駅ビルとか駅近ではなくなった

電動アシスト自転車のシェアサイクルサービスも、コロナ禍で一気に普及したサービスですよね。これまでの家から駅(徒歩)、駅から駅(電車)、の移動で行けるエリアが限定されていたのが、シェアサイクルは駅近以外のエリアにもポートがあるので、行動範囲が広がった。これまで行くことのなかったエリアで、買い物したり、食事をしたりすることが増えたとのことでした。ちなみにこの方は、毎月のシェアサイクルの利用料が毎月2,000円を超えているそうなので、もはや自転車を買った方がいいかも……?(笑)。

テレワークすることで人目が気にならなくなった。いかに無駄で価値を生まないお金の使い方をしてきたのかということに気付いて反省した

こういう声もありました。コロナ禍で、お金の使い方や仕事の仕方も大きく変わっていると思うんですけど、「こんなことが大きく変わった」といったことがありましたら、最初は上野さんから教えてもらえますか?

コロナ禍、出版・コンテンツの世界にパラダイムシフトが起こった。この流れは「お金の世界」にも来る(上野直彦さん/日本ブロックチェーン協会事務局長)

上野:例えばですが、電子書籍が登場したばかりの頃は「紙の書籍はなくなる」と言われていたのですが、実際は紙の書籍は発行され続けているし、一方で電子書籍も普及し始めましたよね。毎年、10代~60代の世代に対して、書籍に関する年代別のアンケートを行っているのですが、これまで10代が購入する漫画は、電子より紙が多かったんですね。それが2019年の時に初めて、「漫画は紙の書籍より電子書籍で購入する」というこれまでと逆転した結果が出たのです。それが昨年のこのコロナ禍で、全世代で同じようなアンケート結果が、10代ほどではないにせよ出始めたのです。まさにDX、パラダイムシフトが起こったんですよね。

永吉:確かに電子書籍はコロナ禍で急激に普及した感覚がありますね。

上野:紙の書籍と電子書籍の関係については90年代前後からいわれていましが、急に実現し始めていることに、正直驚いているっていうのが現状です。この流れは、出版とかコンテンツの世界だけじゃなく、お金の世界にも来るはずです。僕はインタビューするのが大好きで、福島さんやその次の世代の経営者の方々とソーシャルディスタンスなどを守った上でランチミーティングやサウナなどで会うのですが、伸びている会社の経営者の方に会うたびに思うのが、皆さん「現金を持ち歩いていない」ということ。〇〇Payやクレジットカード、デビットカードなど方法は色々ありますが、とにかく現金を持たない、使わなくなった。コロナ禍での一番の変化と感じていますね。

「将来について考えなきゃ」と資産運用を始めてみるが、その後どうしたら良いか分からない(中村仁さん/400F代表取締役CEO)

永吉:先ほどの福島さんのお話で「キャッシュレス」が話題にあがりましたが、中村さんはどうですか?

中村:僕も財布を持ち歩かなくなりましたね。

永吉:キャッシュレスの他に感じる大きな変化ってありますか? 

中村:400Fの『お金の健康診断』では、ユーザーがお金の悩みをチャットで相談できるのですが、「収入と投資」についての相談とがすごく増えています。

楽天証券さんとかSBIさんのIR資料を読むと、NISAの口座は増えているのですが、実際稼働率は50%前後だということが分かるんですね。つまり半数近い人が、とりあえず始めてみたものの、この後どうしたら良いか分からない状態にあるんです。特に投資についての相談で多いのが「NISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)をどういう風に考えたらいいですか?」っていうものなのですが、NISAとiDeCoはそもそもの目的が全然違う。皆さん「将来について考えなきゃ、資産運用しなくちゃ」となんとなく始められるんですが、実際は、その後のアクションに悩まれている人が多いように思います。

iDeCoとNISAの違いを簡単にご説明!

永吉:今日はせっかくなので、「お金のこと、よく分からない」というオーディエンスの方に向けて、NISAとiDeCoの違いについて教えてもらえますか。プロの中村さんがその違いを一言でいうと?

中村:一言ってめちゃ難しいじゃないですか(笑)。

永吉:簡単にいうと?(笑)

中村:「iDeCo」は、退職年齢まで引き落としできずに積み立てておくもの。積み立てている時には給与所得控除(税金の優遇)があって、全部引き出す時には退職金(退職所得)として税金(所得税)がかかってきます。ただ結構大きな退職金控除(退職所得控除)もあるので、そこまで考えて積み立てていけると良いですよね。iDeCoは老後のためにコツコツ積み上げていくっていう面で、特にメリットが大きいと思いますが、(原則は途中で取り崩しできなく)流動性はないので、そこは課題かなと。

一方で「NISA」は(iDeCoと異なり)一定の範囲内で、売買益や配当金に本来かかる約20%の税金が非課税です。では、どう使っていくのが良いか。僕の個人的な考えでは、iDeCoではインデックスとかで積み立てていきつつ、NISAではアクティブに自分でやるっていう使い分けも良いのかなと。いわゆるコア・サテライト(「減らしたくないお金(コア)」と「積極的に増やすお金(サテライト)」に分けておくこと)みたいな感じで、コアなものはiDeCoやNISAでも良いのですが、インデックスで積み立てていきつつ「アクティブに何か応援したい」「この会社好きだ」みたいな理由があればNISAをするのがいいんじゃないかって。相談された時はそのように答えています。

【keyword 2】新しいサービス・体験

永吉:NISAとiDeCoの違いがよく分かりましたね。中村さん、ありがとうございます。次にキーワード2つ目「新しいサービス・体験」に関するツイートを見ると、次のようなコメントがあります。

重い腰を上げて、ふるさと納税始めてみました
ステイホームの時にサブスクを見直しました

色々なサブスクを試していたけど、ステイホームをきっかけに見直しされた方もいるようですね。

【keyword 3】貯蓄・投資

永吉: 「貯金・投資」という3つ目のキーワードでは、こんなコメントも見られました。

オリエンタルラジオの中田敦彦さんのYouTubeを見ていて、それで投信の銘柄変えました
本を読んで買うべき投信はこの2つだけにした

中村:運用には(購入時手数料や運用管理費用といった)コストがあるので、低コストで運用できると、複利っていう面では圧倒的にパフォーマンスの差が出てくると思います。インデックス運用にはそういった低コストのメリットもあるので、それを主軸に考えれば良いのかなと。ただ、世の中がインデックスだけになると市場は崩壊するので、だからアクティブ運用も生まれていくのでしょうし……。なので、自分のライフイベントのタイミングとか「この会社っていいよね」という気持ちがあれば、積極的に投資していけばいいのではないかなと思います。僕は、「あなたには、この2つだけでいいんです」って言い切ってしまうのは、その人の考え方とかを否定しているような気がして。それだったら「ロボット」がやればいいじゃんってなるので。


↓ 「みんなの銀行の日」レポート第3回に続く


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